※あくまでも一個人の意見です
アメリカをはじめヨーロッパ諸国で見られるポピュリズムという現象。
「日本とは関係なさそうだ」と思ってはいませんか?
実はこのポピュリズム、ジワジワとその波が日本へ押し寄せてきています。
「そもそもポピュリズムとは?」
「ポピュリズムのなにが悪いの?」
「ポピュリズムで何をそんなに騒いでいるのか?」
と疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は「そもそもポピュリズムとはなにか?」「ポピュリズムはなぜ起こるのか」「ポピュリズムの問題点」「ポピュリズムの解決方法」など、どこよりも詳しくポピュリズムについて丁寧に解説いたします。
この記事を読み終えた後はポピュリズムにまつわる疑問が一気に解消するでしょう!
ポピュリズムとは?
ポピュリズム(populism)は「popular(人気のある)」に接尾辞の「ism(主義)」が加わった言葉です。
ポピュリズムは主に「大衆迎合路線」や「自国第一主義」や「人民主義」などと訳されます。
ポピュリズムに明確な定義はなく、時代や環境によりその意味合いは変わります。
たとえば、ヨーロッパ諸国で見られるポピュリズムは「自国第一主義」。
自分の国が一番大切でそのほかの国は関係ないという考え方です。
アメリカで見られるポピュリズムも「自国第一主義」ではありますが「大衆迎合路線」の色合いが強いと言えます。
どちらのポピュリズムにも共通して言えることは「政治家が大衆から人気を集める手法」ということです。
ポピュリズムはなぜ起こる?
一言でいえば、政治家が大衆(中間層)からの支持を集めやすいからです。
大衆にメリットのあることを行うと約束すれば、大衆はその政治家を支持します。
アメリカのポピュリズム
アメリカのポピュリズムは自国内に大衆(中間層)の敵(富裕層や移民)を作り出して対立させる構造を取ります。
これにより、富裕層や移民に対して不満が溜まっていた大衆からの支持を得ることができます。
具体的な対立構造はこの通りです。
アメリカの政党は民主党と共和党の二大政党です。
それぞれの党を支持する人々で分断が進んでいます。
移民による「失業」や「治安の悪化」があらわになり移民を規制しようという人が増えてきています(共和党)。
しかし、アメリカは元々が移民の国であり移民に反対することは難しいです。
「自分たちも元々移民なのだから移民を受け入れよう!」という姿勢を持ちます(民主党)。
こうした姿勢を政治的・社会的に正しいpolitical correct(ポリコレ)と言います。
移民に対して自由・寛容な姿勢を見せる民主党に対して、移民規制を強行するトランプ大統領(共和党)のポピュリズムは大衆(中間層)にとって胸をなでおろす思いなのでしょう。
ヨーロッパのポピュリズム
ヨーロッパ諸国のポピュリズムは
「移民賛成派 VS 移民反対派(ポピュリズム)」
「EU残留派 VS EU離脱派(ポピュリズム)」
で分かれています。
ヨーロッパ諸国もアメリカと同様に移民の受け入れによる「失業」「治安の悪化」が懸念されています。
ヨーロッパ諸国とアメリカのポピュリズムで異なることはEU(欧州連合)についてです。
EU(欧州連合)について
- ユーロ圏はユーロ(ヨーロッパの通貨)を共有している国のこと
- シェンゲン圏(シェンゲン協定を結ぶ国)はパスポートなしで自由に行き来できる国のこと
- 欧州連合はEUのことで、自由な貿易(関税なし)ができる国のこと(2019年には日本と欧州(EU)でEPA(経済連携協定)が発効され、様々な関税が段階的に0になります。)
ヨーロッパ諸国はEU残留派とEU離脱派(ポピュリズム)で対立が起こります。
この対立(EU残留派とEU離脱派)を知るには歴史を遡る必要があります。
2008年のリーマン・ショックを発端としてギリシア危機→ユーロ危機という流れでEU(欧州連合)はユーロ危機の対応を迫られました。
これによりEU内でも財政面で負担が大きい国とそうでない国が分かれます。
財政面で負担が大きい国はEUにいても意味がないということで、EU離脱を唱える人(ポピュリスト)が国民に支持されます。
これによりEUの各国はポピュリズムが加速します。
(ドイツのAfD(ドイツのための選択肢)やイタリアの五つ星運動など)
ポピュリズムはなぜ起こる?深掘り編
ポピュリズムが起こる理由を深掘りすると主に以下の3つが絡んできます。
- 「グローバリズムの影響」
- 「テクノロジーの発展」
- 「治安の悪化(紛争等)」
①グローバリズムの影響
ヨーロッパ諸国に来る移民は中東の紛争地域であるシリア難民やパレスチナ難民(ここでは移民で統一)を指します。
第二次世界大戦以後、ヨーロッパ諸国はECSC→EEC→EC→EUと確実に統一に向かいました。
これがシェンゲン協定を結ぶことでヨーロッパ圏内を自由に行き来できるようになります(一部除く)。
つまりグローバル(地球規模)の移民が可能になったわけです。
グローバリズムの影響で国内で留まりを見せていた移民が国外へと噴出したのです。
②テクノロジーの発展
グローバリズムにテクノロジーの発展が加わります。
現代ではインターネット環境があれば誰もが情報にアクセスすることができます。
スマートフォンの普及は移民(難民)の中でも進んでいます。
難民キャンプにはボランティア支援で電源設備やWi-Fiが備わっていると言われており、移民先で生活が安定していると難民キャンプにいる人々にインターネットを通して情報が伝わります。
これにより移民の流れは増大・拡大します。
テクノロジーの発展により、位置情報の取得・情報のやりとりが可能になり、目的地まで迷わずに到達することができます。
③治安の悪化(紛争等)
ヨーロッパ諸国の移民を発生させているのは中東紛争(中東問題)です。
中東で紛争が激化するにつれて移民(難民)が発生します。
中東問題は宗教対立であり、湾岸戦争であり、冷戦でありと歴史を遡ればキリがありません。
アメリカでの移民は南米の治安情勢が不安定である国から発生しています。
こちらも歴史を遡ればキリがない問題です。
【ポピュリズムはなぜ起こる?深掘り編のまとめ】
ポピュリズムが起こる3つの理由
- 「グローバリズム」
- 「テクノロジーの発展」
- 「治安情勢が不安定(紛争等)」
中東問題は宗教対立や冷戦や湾岸戦争など歴史を遡ればキリがない
ポピュリズムの問題の焦点とは?
ポピュリズムの問題の焦点は「移民」と「経済格差」です。
ポピュリズムの問題の焦点「移民」
移民により様々な人々がその地で生活をします。
そこで問題となるのが治安の悪化です。
移民はどのような人々が移り住むかわかりません。
移民にまぎれてテロリストが入国する場合もあります。
もちろん、国内では不満が高まります。
「私たち(国民)の安全より移民の人々を優先するの?」というように。
日本人からしてみれば「自己中なやつらだな。移民を受け入れてあげろよ」と、上から目線で物事を言うことは簡単にできます。
しかし、各国にはさまざまな思惑があり移民を受け入れることは難しいのです。
そのような中、ドイツは現在100万人の移民を受け入れています。
これは過去のナチス・ドイツ(ヒトラー政権下)でのホロコーストの反省から、ドイツのメルケル首相が移民を受け入れる姿勢を貫いているからです。
しかし、第二次世界大戦後のドイツは冷戦構造(共産主義と資本主義の対立)の中心地であり、ベルリンを境に東ドイツと西ドイツに隔てられました。
そのため、教育も西ドイツと東ドイツで異なり、ホロコーストの反省を徹底的にする西ドイツとそうではない東ドイツで分かれました。
これにより、西と東で移民に対する政策に矛盾が生じており、移民の受け入れを続けることが難しくなってきているのです。
また、移民により失業する人もいます。
アメリカは中米からの移民。
ヨーロッパ諸国は中東からの移民です。
このような人々が生活するにあたり必要なのが「職」です。
職がない状態では生活することができません。
こうして移民は知らずのうちにその地に住む人々の職を奪い取ります。
ポピュリスト(ポピュリズム推進派)は国内での治安の悪化や失業を防ぐことを公約として大衆(中間層)から支持を得ることができます。
ポピュリズムの問題の焦点「経済格差」
グローバリズムとテクノロジーの発展により今や自国だけに留まらずにあらゆる国を視野に入れた商売ができるようになりました。
これによりグローバル企業は貿易で大きな利益を得ることができます。
一方で、グローバルにビジネスを展開していないローカル企業は移民により失業が多発します。
貿易が盛んになるにつれて必ずしも自国の国からモノを生産する必要はありません。
そのため、グローバル企業とローカル企業の間で経済格差が広がります。
ポピュリズムの問題の焦点は「移民」や「経済格差」のほかに「退役軍人の対応」や「福祉政策」が挙げられます。
【ポピュリズムの問題の焦点のまとめ】
- ポピュリズムの問題の焦点は「移民」と「格差」
- グローバリズムとテクノロジーの進化が経済格差を広げている
ポピュリズムの問題点(本質)
- 「自我中心主義(帝国主義)」
- 「世界平和(地球規模での問題解決)」
自我中心主義(帝国主義)
帝国主義とは各国を自分の領土(植民地化)とする主義のことです。
21世紀に帝国主義が流行ることはありえませんが、その近似的な主義である自我中心主義の姿勢は過去の反省がされていないと言えます。(争いが争いを呼ぶ)
世界平和(地球規模での問題解決)
世界平和を達成するためには各国の連携が不可欠です。
ポピュリズムにより各国が独立した動きをしてしまえば世界平和から足が遠のき、地球規模での問題解決が困難となります。(移民や紛争や環境など)
ただ、長い目で歴史を見ればポピュリズムは必要なのかもしれません。
たとえば、ヨーロッパ諸国では各国の経済状況を考慮せずに統合を急ぎすぎたという見方もできます。
各国の経済を立て直す状況下において、経済的に余裕のある各国は移民を本気で受け入れる姿勢が求められ、紛争問題にも積極的に立ち会うことが求められます。
また、個人である私たちも異なる文化を深く理解して“多文化共生社会”を築く必要があります。
ポピュリズムの解決策
ポピュリズムの解決策は主に3つです。
※一個人の考えであるため、参考までに留めてください
- 雇用の創出
- 対話(紛争地域との)
- 自己組織化(バックフィット思考)
雇用の創出
雇用を創出することで、移民に対する不満を大幅に減らし、ポピュリズムを緩和します。
移民に対して不満が高まる理由は「治安が悪化する」という側面もありますが、まずは雇用を創出して、移民と大衆との間にある対立構造をなくすことが求められるでしょう。
対話(紛争地域等)
移民は治安の悪い地域(紛争地域等)から発生します。
こうした地域へ国連が対話を重ねる必要があります。
争いが争いを生むことを私たちは歴史を通して2000年以上も見てきています。
軍の介入(暴力)による解決ではなく、対話による解決が今以上に求められます。
自己組織化(バックフィット思考)
バックフィットとは環境や最新の技術に合わせた基準に適合するように既存の設備を更新・改造することです。原子力問題で使われている用語です。
テクノロジーの進化は著しく、私たちは時代に合わせて自己を更新・改造することが求められます。
現代の社会構造は複雑であり変化が激しく物事を普遍的に考えることはできません。
つまり、これをしていれば大丈夫という図式は通用しません。
古い業務に固執するのではなく、常に社会構造の変化に対応する自己組織化(バックフィット思考)が必要です。
【ポピュリズムの解決策まとめ】
- 雇用の創出
- 対話
- 自己組織化
まとめ
アメリカのポピュリズムはかつてのナチス・ドイツを彷彿とさせます。
(国内に敵(ユダヤ人)を作り大衆の支持を集める独裁者(ヒトラー))
ヨーロッパでは平和のために結成されたEU(欧州連合)をイギリスが脱退することが2019年に決まっています。
冷戦終結後、紛争は収まりをみせるどころか広がっています。
各国がポピュリズムの姿勢をとれば移民はどこへ行くのか。
日本に住む私たちも対岸の火事では済まされません。
外国人受け入れ枠拡大など、移民の波は徐々に広がっています。
私たちには異文化を深く理解して多文化共生社会を築くことが求められます。
各国の首脳が自国の経済状態を整え長期的な連携を視野に入れたポピュリズムを考えていることを願うばかりです。
そうでなければ、もはや問題の解決は惑星移住計画しかないのかもしれません。
重要概念:多文化共生社会、脱中心化
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