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本の内容が頭に入らないなら音読せられよ!

本を読んでも本の内容が頭に入らない原因は、第一に、その本自体がつまらないからであり、第二に、本を読む人の脳が眠っている状態だからである。

その本自体がつまらないなら読まなければよいのだが、いろいろな事情により、読む必要に駆られている人もある。

筆者もそのひとりだ。ある本を退屈しながら読んでいる。その本の内容を頭に入れたい、理解したい。突然、そのとき、本の内容を頭に入れるための方法が頭に入ってきた。その方法というのが音読である。

本の内容が頭に入らないときでも、音読しながら本を読めば、本の内容が頭に入るのである。

そのメカニズムを説明したい。

つまらない本は、不快である。

動物は、不快な対象から逃走して、快の対象へと奔走する本能がある。

ある本を読んで「つまらない」と感受している脳は、ある本を不快な対象としてとらえている。

本を読むことが不快であれば、脳は、なにかほかの快の対象を見つけ出そうとする。

この〈不快〉から逃走して〈快〉の対象を見つけ出すための活動が〈気が散る〉というメカニズムである。

〈気が散る〉ことに加えて、脳は不快な対象(本)から逃走するため、つまらない本の内容は記憶することを妨げるのである。

声を出すこと(音読)は、快である。

一般に言って、なにかを出すことは(体内から体外へと排出することは)快である。小便、大便、精なる液、そして声。

声を出すこと(音読)が快であるのは、声を出すことが安定して生が営まれていることを私たちが実感するからである。

これはジェットコースターを体験している人が快を感じるのと同様の法則である。

ジェットコースターは私たちを生を危機に瀕する状態に連れてゆく(死の擬似的体験)。そこで私たちは生の存在をありありと実感するのであり、生の存在を実感することで快を感じるのである。

話すこと(語ること)が快であるのは、この〈声を出すこと〉という生を実感する営みが含まれているからなのだ!

つまり、たとえそれ自体つまらない本(不快な対象)でも、音読することで、脳は欺かれて、本を読むことを快ととらえるのである。

音読することは快である。快であることは記憶に残りやすい。これが生産効果である。

音読することが記憶を定着させる

記憶における生産効果(Production Effect)とは、音読することが記憶に残りやすいことを説明するための用語である。

先の説明からも生産効果は検証される。つまり音読は、声に出して本を読むことは、それが(声を出すことが)快であるため、本を読むことが快であると錯覚されてーー快の体験は記憶に残りやすいためーー本の内容の定着を手助けするのである。

生産効果について:The production effect in memory: multiple species of distinctiveness

ゆりかごで眠る脳にムチを打て!

本を読む人の脳が眠っていれば、その本自体が〈快〉か〈不快〉かの判断ができない。

音読は、複数の器官(目、口、耳)を活動させて、それぞれがかかわる脳の領域を活性化させるため、脳にムチを打つような衝撃を与える。

安全が脅かされた脳は、安全を獲得するために、一生懸命に活動するだろう。

したがって音読が、本の内容を頭に入れるために役に立つのである。

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