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発展途上国における孤児院問題

この記事は約4分で読めます。

孤児院のイメージ

孤児院とは?

孤児院とは両親や親戚等の保護者のいない未成年者である孤児を収容・擁護する施設であり、一般的に児童養護施設と呼ばれています。

 

保護者のいない子どもが孤児院に収容・擁護されていると考えられていますが、発展途上国においては、孤児院に在籍している子どもは実際に孤児ではなく、両親や親戚等の保護者がいる場合が多いことが報告されています。

 

カンボジアを例にしますと、2015年の国立統計局とカンボジア大学の調査で、孤児院に在籍している79%の子どもに保護者がいることがわかっています。

 

なぜ、保護者のいる「孤児ではない子ども」が孤児院に在籍しているのか。

 

今回提起する問題はこの「発展途上国における孤児院問題」です。

 

孤児院にまつわる問題

問題点

ある調査によれば、2005年以降カンボジアにある孤児院の数は75%増加し、孤児院で生活する子どもの数がほぼ倍になっていることがわかっています。

こうした子どもたちの多くは「孤児」ではなく、保護者のいる貧困家庭に生まれた子どもたちです。

 

孤児院で問題とされていることは、児童虐待をされるケースや精神疾患(心の病)になるケース、孤児院を出た後の社会に上手く馴染めないケースなどがあります。

 

また、孤児院で育つ子どもに関して、児童保護の活動家で、カンボジアの児童保護施設CCTの創設者であるTara Winkler氏は次のように述べています。

孤児院で育った子どもはそうでない者に比べて、性労働に従事する可能性が10倍高く犯罪歴を持つ可能性が40倍も高く、さらには自殺をする可能性が500倍も高い

 

あまり知られてはいませんが、孤児院で孤児を増やす原因となっているのは私たち観光客やボランティアなのです。

観光客に対して「孤児によるダンスショーを催す」「恵まれない子供たちのために」というキャッチフレーズを使い、孤児院の運営資金に充てるためと、孤児院側は寄付金を募ります。

 

その寄付金のほとんどが子どもたちの生活費用に充てられず、孤児院の運営者が着服しているといわれています。

もちろん全施設がそうであるとは限りません。

 

また、発展途上国では「孤児院ツーリズム」といった企画を持ち出しています。

孤児院ツーリズムとは、観光客が孤児院を訪問して、寄付や支援を行うことです。

いわゆる「孤児院ビジネス」といわれることです。

 

発展途上国における孤児院は、ほどんどが観光客の目が留まるところ、カンタンに立ち寄れる場所に立てられており、孤児院側が寄付金を募りやすいように仕立てられています。

 

施設を支える資金が集まれば集まるほど、施設は増やされ、収容される子どもが増えていきます。

観光客による寄付、ましてや募金活動により集められた資金までもが子どもを収容・擁護する孤児院を助長しているのです。

 

解決へ向けて

問題解決

私は孤児院に関して深い知識もなく、社会学者ではないため、安易に「解決」という言葉を用いることを慎まなければなりません。

 

そのため、先ほども登場していただいた児童保護の活動家TaraWinker氏の言葉を借用して本記事を締めくくるとします。

私たちが孤児院にまつわる問題の解決へ向けてすべきことは、

養護施設を増やす団体に支援をするのではなく、家族を基盤とした団体に支援をする・目を向けることである

 

家族を基盤とした団体に支援をすることで、もともと弱い立場にある貧困家庭をバラバラにさせず、子どもに愛情を持って接してもらうことができる。

孤児院を経て社会へ出ても馴染めない、子を持ったときの接し方がわからない、といった孤児院にまつわる負のスパイラルを打ち消すことができるのではないでしょうか。

 

題名:発展途上国における孤児院問題

 

本記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。

 


参考:

世界の児童入所施設を訪ねて その1:カンボジアpdf

TED:Why we need to end the era of orphanages

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