コミュニケーションのスピードは会社のなかで最も重要なことです。
何かを決定して行動するためには、上司のYESという承認をもらう必要があり、YESをもらってはじめて現場レベルで行動ができます。これを逆にして考えてみればYESをもらえるまでは仕事は進められない、ということです。
したがってコミュニケーションが遅ければ上司から「YES」をもらえるまでに時間がかかり、そのぶん仕事も遅れるというわけです。
仕事を速く進めるためには、まずはコミュニケーションの速度を上げることが重要なのです。その方法について紹介しています。
10秒でYESをもらう方法!
コミュニケーションをとる目的は、自分の目的を相手に理解してもらい、YESという承認を引き出すことです。
本書の標題として述べられている「10秒でYESをもらう方法」は、第一に、A4サイズのメモ用紙(400字)を用意して、第二に、以下の手順にしたがってコミュニケーションをとること。
- フレームワーク(全体像)を示す
- 結論を示す
- 理由(結論の根拠)を3つ示す
- 相手にとってもらいたい行動を示す
「フレームワーク」でこれから話す内容を示して、結論で願望を示す。
理由を3つ述べて、相手に納得してもらい、次に相手にどんな行動をしてもらいたいか(願望)を再び示します。
この方法によって本書の著者はソフトバンクの社長からYESを連発してもらったそうです。
DIKW理論を知らなければYESはもらえない
しかしながら「10秒でYESをもらう方法」を実践し、コミュニケーションのスピードを速くしても、このDIKW理論を知らなければYESという承認を上司から引き出すのはむずかしいとのこと。
DIKW理論とは、
● Data(データ)
● Information(インフォメーション)
● Knowledge(ナレッジ、知識)
● Wisdom(ウィズダム、知恵)
を示しています。
具体的に説明すれば
● データ(D):個人の業務の効率化 → 平社員の情報レベル
● インフォメーション(I):課全体の効率化 → 課長の情報レベル
● 知識(K):事業をどのように展開できるか → 部長や常務の情報レベル
● 知恵(W):会社にどんなメリットがあるか → 社長や取締役の情報レベル
つまりDIKW理論とは相手にとって必要な情報を示すことが大切であるということです。
たとえば〈課長〉が必要としているレベルの情報を〈部長〉に示しても、そのような情報を〈部長〉は必要としていませんから却下されます。YESはもらえません。
会社の規模が大きいほど、意思決定のプロセスに階層が生まれて、コミュニケーションのスピードが遅くなるため、2階層上の段階でYESをもらえることを前提にしておくと、上司のYESをもらえ、そのまた上司のYESをもらえる、という具合に提案がスムーズに通ります。その結果として仕事も速くなるのです。
メールの文章は3行を超えるな
メールの文章は3行を超えると長すぎて読むことに気力をとられ、YESをもらいがたくなるとのこと。なるべく3行以内に留めることが肝心だそうです。
メールの送信先の相手の時間を奪うことを考えても、文章はなるべく短くするべきです。
3回以上メールでやりとりするなら直接話すこと
メールが3回以上続くなら、直接会って話すか、もしくは電話して話すほうが仕事は速く進みます。
先述のとおり、相手の時間を奪うことを考えれば、直接会うほうが相手も迷惑とは考えないでしょう。
「大丈夫です」とは言わないこと
「大丈夫」とは単なる感情的な主観であって、客観的な事実とはまったく正反対の状態を告げていることもあります。
「大丈夫」という一言により、後々、トラブルが起こることは容易に連想されますし、実体験もあることでしょう。
こうした「主観」と「事実」とを私たちは混同する傾向があります。
意見や進捗を尋ねられたときは、後々のトラブルを避けるために客観的な「事実」を述べることが大切です。
まとめると、DIKW理論にしたがって望みを示し、メールの文章は3行以内に留め、3回以上メールでやりとりするならば直接会い、「大丈夫」は使わないこと、これによりコミュニケーションの速度は今よりも上がることでしょう!
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