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アイデア

紳士とは何か|ディケンズ『大いなる遺産』を読んで

人間はいかにして紳士になるのだろうかと、大いなる遺産のゆくえはさておいて、大いなる遺産を生み出すのだろう人性に、私は引き込まれてしまった。そもそも紳士とは何かと云って、それは蜃気楼のような、虚ろな空想かもしれないのだが、しかし光輝な...

オルテガ|『大衆の反逆』の読書感想|オルテガの政治思想について

ルネサンス、宗教改革、そしてフランス革命のもたらした人間の自由と平等は、ヨーロッパ建国の精神的支柱となり、ヨーロッパの大衆がとまれぬほどの力を与えることになった。意見をもたぬ大衆が社会的勢力の中枢となり、もはや少数の哲人や為政者のみでは世論...
日本文学

真野さよ|『黄昏記』の読書感想|逃れられない「老い」と「介護」という問題

何事も虚むなしいものだと決めてかかって世界を眺むれば、どんなに新鮮な出来事でも忽たちまちに色褪せてしまう。ひとたび虚しさが意識されると、世界は演劇のように台本にしたがって進行するようで、いかなる悲劇的事件も、舞台進行に欠かせ...
日本文学

坂口安吾|『堕落論』の読書感想|現代日本が堕落する必要はあるのか?

必要から生まれた言葉は純粋で、代用としての言葉以上に何かを物語るものである。坂口安吾の文体は奇妙で道化のようであるが、それがたわいもない細工物に堕していないのはどうしても書かねばならぬことで、書く必要のあることだからである。 ...
アイデア

荘子の音楽観|思想と文体と音楽との類似性

「人の自然な生まれつきを失わせるものに音楽がある」。道家の荘子(紀元前369年頃 - 紀元前286年頃)によると、音楽は五つの音階が耳をかき乱してものを聞きとれないようにさせる、という。また同じく道家の老子によると、感覚的な欲望にと...
アイデア

作品における神獣の存在意義について

思うに、作品における神獣の存在意義とは、はなはだ人間中心的な解釈だが、それが「読者の存在感覚を満たす適当な対象」ということである。神獣という存在の疑わしいおぼろげな対象は、何かを読みて相対的に存在感覚を得られる人間に、その答えの既得...
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日記とは何を書くものか|日記の書き方と内容について

私は都会から田舎へ越してから毎日、日記をつけている。しかしその日記の内容をふりかえりみると日常のありふれた生活が書かれているだけである。その無味乾燥さに反省の機会を得、日記とは何を書くものかその断案をここに記す次第である。 ...
アイデア

迷うことは時間の無駄ではない話

思うに、人としての魅力は「迷うこと」にかかっているのではないでしょうか。迷うとは事態に対する判断を定めかねて、心が混乱することであり、そもそも日常生活するうえで迷わない人はいないでしょう。何も迷わず即断即決するというのも魅力的ではあ...
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列挙法とは何か?列挙法の効果と用法について

「列挙」とは何かを調べると、『広辞苑』には「ならべあげること。数え立てること。〈人名を―する〉」とある。そして、列挙法とは何かを説明したり描写したりするさいに語句をならべあげて、その何かの一面一面を明らかにして全体を判然とさせるレト...
日本語

懼れる・惧れる・恐れる・怖れる・畏れる・怯れるの違いについて

何か物事に「おそれる」を意味する字には、懼・惧・恐・怖・畏・怯などがある。これらの字の違いを主に『字通』を参考にして記したい。 惧れる(懼れる) 惧の正字は懼に作り、瞿く声。瞿は鳥が左右をみておどろくさま。その心...
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